小言が言える嫌なやつ。それが私だ。
無神経で気分屋。普段から思ったことをすぐに口にしてしまう。そのことに振り回されたり、ストレスを感じたりする人は多かったと思う。プレー中、よく先輩方には噛みつくこともあったし、迷惑をかけまくったことを覚えている。特に2回生のころは酷かった…。

そんな特徴も全部が全部悪いわけではないと思っている。前向きに捉えている部分もある。チームの現状に満足していなかったからこそ、変化を求めて発言をしていた時もあったし、気持ちのいい環境でサッカーがしたいから部室やテント周辺の掃除についてはうるさかった。私は細かなことに対してストレスを感じやすい体質なので、周囲の変化や違和感を察知することが出来た。だからこそ発言していた。しかし、いつからだろうか。周囲の出来事に関して指摘や発言をしなくなっていた。

昨年の9月下旬、2023シーズンの主将を決定した。学年代表だった季陽の海外留学が決まったのが2回生の時。その頃から「我々の学年は誰が主将をするのか」という話題が交わされていたのだが、決定的な話し合いはなかった。当時主将だった木下紘希さんがラインカーに座りながら「お前がキャプテンになるだろう」と言ってくださった時があったのだが「まだ季陽が帰ってくる可能性があるのでどうですかね」と、その時ははぐらかしていた。その時に覚悟を決められなかったのは自信がなかったからだと思う。まだ完璧にAチームに関われてもいなかった自分に主将が務まるビジョンが見えていなかった。主将になることを決意したタイミングは、2022年の総理大臣杯1回戦前夜。大浴場で主将の濱琳太郎さんと二人で話した時だった。その日はとにかく濱さんに質問攻めをしたような記憶がある。次の日に迫った1回戦への意気込みや想い、DENSOの時のこと、主将に決まったときのこと、将来について。濱琳太郎の女性関係についても聞いたかもしれない。こんなことを話したなぁと話の大枠は覚えているが、具体的な内容までは正直なところ覚えてはいない。ただ、濱さんの主将としての想いを聞き、その熱量に感化されて主将になる決意したことは間違いない。そうして、学年ミーティングで覚悟を持って名乗り出た。

2023シーズン開始当時、険しい表情でプレーすることが多かった。昨年のチームでも四国を獲ることができなかったのに、こんな体たらくじゃやっていけない。まず四国制覇という第一段階を達成するために昨年以上のチームにならなければいけないという課題に対して、技術面はともかく選手の「熱量」が足りない現状にギャップを感じ、それが非常にもどかしかった。

ギャップを感じていた要因は、四国選抜のメンバーに選ばれていたことが大きい。愛斗もブログで綴っていたが、それほどまでに成長できる刺激のある環境がそこにはあった。四国選抜内ではフラットな状態からスタートするため競争が激しく、他大学の選手が持っている個の能力に魅せられ、私の意識は引き上げられていた。また、練習会場に着くと他大学の選手は30分前からボールを蹴っていたり、ストレッチをしたり、体幹をしていたりとその意識の高さを痛感させられた。尚且つ、トレーニングマッチではアルビレックス新潟やカマタマーレ讃岐といったJクラブとマッチメイクしてもらっていた。特にアルビレックス新潟には度肝を抜かれた。アクション頻度の多さやFWの関係性、正確なパスに素早いアジリティー。どれも足元にも及ばず大差で敗れた。ダメ押しはDENSOプレーオフ大会で他地域のレベルの高さ、同年代の選手たちにこれほどすごいプレーヤーが溢れかえっていることを目の当たりにした事だった。こいつらに勝たなければ全国優勝なんて叶わないと感情を揺さぶられた。それほど刺激的な時間を過ごしていた。数か月間、異常なまでに高いレベルの環境で身を置いていたからこそ、自チームでの活動は物足りなく、そんな現状を打破しきれない自分が歯痒く感じた。

4月初頭、ケガをした。右足首の捻挫だった。捻挫程度なら大したことないだろと思われるかもしれないがプレーをできるまでに回復するのに1ヶ月もかかった。プレーする姿勢で熱量を感じてほしかったし、その姿でしか熱を表現することが出来ない私にはこの期間は苦痛でしかなかった。そして何より4月は4週連続で公式戦が入っていた。いち早く試合に出られるまでに回復しなければ、と焦燥に駆られていた。ようやく、プレーできるようになり、体のキレもパスの精度も悪くない、個人的には万全の状態で迎えたSUL第3節。前々日に監督から呼び出され「ベンチ外」を告げられた。これがこの1年の転機だったように思う。

チームは2勝していて勝ちを積むことが出来れば自信を得られる大一番。チームにとって大事な一戦であったが、個人として大きな意味を持っていた試合でもあった。昨年のSUL第3節も同じチームと対戦したのだが、その週は本当に調子が良く周囲の選手との連携もよかった。高知大学にきて初めて自分の力でAチームのスタメンの座を勝ち取った週だった。自分が初めて勝ち取ったスタメンの立ち位置。必ず勝って価値を示すと意気込んでいた。しかし、不甲斐ないプレーをして2失点に絡み、敗北を喫した。だからこそこの試合は2023年の高知大学の大一番であると同時に私にとっては昨年のリベンジマッチの意味も込められていた大事な試合だった。スタッフの選択に納得がいかなかったし、その日の日記にはえげつないぐらいの不満を書き殴っていた。ただ、客観視すれば、スタッフの選択は至極真っ当だと思う。復帰したてで、朝テント下に来ると足首のテーピングぐるぐる巻きにして練習に挑むような欠陥選手を気持ちよくスタメンに選ぶか。いや~、そんなわけがない。今では理解できる簡単なことだが、そんなことが消化しきれなかった。信頼を勝ち得ることができていない自分に吐き気がした。

それから信頼して起用してもらうために自分のプレーに焦点を当てだした。すると、途端に周囲が見えなくなっていった。話下手な私は前日の寝る前から円陣で話すことを仕込んでいて、大学に行く道中も噛まないように反復練習しながらチャリを漕いでいた。正直、ダサいことをしていた。しかし、それすらしなくなった。グラウンドに着いてからどんなことを話そうか悩みだす。時間が足りずにテキトーなことを話してしまう。チームの士気を高めるどころか、むしろこれまでとの違いで不安を煽っていた気がする。練習終わりにくどい話もしなくなった。自分のプレーに集中していて、チームや他の選手の変化に気づく余裕がなかったから。部室が、倉庫が、日に日に汚くなっていく状況は見て見ぬふりをした。
自分の掲げている理想の主将像と現状の自分との乖離によって、自己否定をするようになっていた。元からネガティブな性格だったので、自己否定をするのは容易いものだった。

そうして私は私自身の「存在価値」自体を否定するようになった。

プレーが上手くいかないことよりも、人から信用されていないなと感じることよりも、自分自身を否定することは何よりも耐え難い苦痛であった。自己否定をすると人は臆病になり行動が出来なくなる。周囲の目を意識し、期待にこたえなければいけない義務感にこたえることが出来ていないことに対する無力感、高知大学サッカー部の歴史との比較から生まれる劣等感に苛まれ自己否定の沼にはまっていった。

「こんな状態あかん!!!!!!!!」
現状悩んでいる人、自分を信じ切れていない人は思い出してほしい。何をしに高知大学に来たのかを。自己否定しているうちは成長なんてものは出来やしない。何も残らない。

3つだけ。自分を信じるために3つだけ意識してほしい。
① 環境を整える
何事にも環境要因は大きい。日頃から生活する場をきれいにしておくことで要らないストレスから解放されろ。一つのことに集中するためには、目に入る邪魔なものは排除しなければならない。トレーニングルームにモノが散らかっていると片づけから始まってトレーニングの時間が失われていく。片づけずにトレーニングしだすと注意力が散漫になるだろう。場を整えることで集中力を継続できるように整えてほしい。環境は場所だけではない。関わるヒトも環境に当たる。自分がどうなりたいのかを考えたときに最もそれに近い人間と関わることで刺激を受け続けろ。もし、チーム内で我こそはNo.1だ!と思う人がいれば、さらに上を目指すために外部に目を向けてほしい。高校時代の友人がどこかで頑張っているならばそいつと連絡を取ればいい。また、今はSNSでいつでも情報を得ることが出来るし、DMをすれば繋がることもできる。関東の選手や関西の選手がどんなことをしているのか、どんな意識を持っているのか聞いてみるのも一つかもしれない。少し面倒だな、億劫だなと思うことに対して勇気を出してやってみると、コンフォートゾーンは広がっていくはず。そうして自分を磨く環境を整えていってほしい。

② 自分に真摯になる
自分を信じられなくなるのは自分の理想と現実の乖離が原因だ。なぜ理想と現実に差が出るのか。それは思考したときと行動に移るまでのタイムラグが原因だろう。何かを始めようと思った時に効率の良い方法から学ぶ人は多いのではないだろうか。そして調べているうちに学んだことに満足して行動に移さなくなってしまう、そんな経験をした人も多いと思う。しかし、熱された鉄の側をただただ眺めてどう鍛錬していこうかなと考える刀鍛冶はいないだろう。鉄は熱いうちに打てという言葉はその通りだと思う。思いたったが吉日、兵は拙速を尊ぶなど古人は教えてくれている。すぐに行動を起こすことが大事なのだと。熱した闘志はひたすらぶっ叩け!
また、自分の信念を曲げないこと、正道を貫くことも重要である。他人に迎合したり、上手くその場を乗り切ろうとして妥協したりすることはあってはならない。ただ、正道を貫くことは時に周囲からの反感を買うこともある。それでも曲げないことは辛く険しいことだろうが長い人生の大きな糧となり、結果に結び付くに違いない。
理想のために行動すること、自分の正道を貫くことこそ自分に真摯になることに繋がっている。

③どデカい目標を掲げる
「四国制覇・全国優勝」今シーズンの目標を見て実現できるわけがないと思った人も多くいたと思う。それはそうだろう。これまで高知大学が全国制覇したことは残念ながらないし、近年、全国大会に出場しても1回戦敗退と苦渋を飲んできたのだから。だからといって目標を下げるのか?叶いそうな夢を追いかけるのか?そうではないだろう。もちろん目標には段階が必要で、実現できるかぎりぎりのラインを攻めることでモチベーションを維持できることもある。現実を見るべきだと思うかもしれない。ただ目標をどこに置くかによって、努力の方法は変わってくるのだ。昨年の12月4日にこの話を幹部にしたのだが、その二日後に、本田圭佑選手が「ベスト8を狙うんじゃない。優勝を狙うんだ。優勝とベスト8を目指すのとでは、努力の方法が全く変わると思っている」とW杯のことについて呟いていた。彼が言うなら間違いはない。
壮大な目標を掲げ、それに必要な改革を起こしていくことを「ムーンショット理論」という。アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が1961年にアポロ計画を発表し1960年代のうちに人類を月面に着陸させると宣言したことになぞらえてつけられた名前だ。大きな目標を掲げることによってそれに対して逆算して物事を考えることになり、今何を改革すべきなのか何に取り組むべきなのかをより明確に考えるようになる。目標の細分化を行うのだ。
だからこそ日本一になるという目標は掲げ続けてほしい。来年の目標に加えてほしいとかそういうわけではないが、サッカー部として持ち続けてほしい。今年は結果で日本一を目指したが、切り口を変えてみるのもありかもしれない。「団結力で日本一になる」「応援で日本一になる」「地域とのつながりで日本一になる」といった具合に視野を広げてみることで新しい成果が生まれるかもしれない。

単純な方法だが、この3つで自己肯定感を高めることで自信を持てるようになれる。組織としても強くなれるはずだ。一方で、自信を持てとは言うものの過信してはいけない。常に謙虚で高みを目指す姿勢がいつか必ず結果につながる。そう信じてほしい。

今年を振り返って少し考えてみてほしい、全国大会出場まであと一歩だった。SUL前期3連敗してどん底に落ちていた中で後期は4勝した。第6、7節では後半ギリギリ残り数分、いや数秒のところで得点をもぎ取って勝ち切ることが出来たのだ。自分たちを誇っていい。確実に勝負強くなっていたのだ。私はこのチームを誇りに思う。

結果の出ない苦しいシーズンだった。「悔しい」の一言に尽きるそんな1年だった。それでも戦い続けたみんなを誇らしく思う。今年の高知大学は間違いなく逆境に立たされていた。しかし、その逆境は人を成長させる特効薬だ。そこでしか得られないものがある。苦しいことは間違いない。それでも逃げずに逆境を跳ね返してほしい。いつか高知大学体育会サッカー部が頂点に立つことを願っている。

決して一人では何もできなかった。支えてくれた仲間、スタッフ、マネージャーがいてくれたからこそ進んでこれた。最後まで足を引きずってでも歩むことが出来たのはみんながいてくれたから。幸せな4年間でした。

2023シーズンの高知大学体育会サッカー部に関わってくださった保護者の皆様、スポンサー、OB・OG、地域の方々、1年間応援ありがとうございました。皆様のおかげで活動を続けることが出来ました。この場をお借りして御礼申し上げます。引き続き、高知大学体育会サッカー部に応援のほどよろしくお願いいたします。

最後に家族へ。22年間ありがとう。

[DF 松本賢士 (主将 4回生)]

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2023 〜fin〜